意味
蓮華部院とは「胎蔵界曼荼羅」に描かれる仏様エリアです。観音院とも。
曼荼羅の第一重(仏部)に属し、中台八葉院の北方(向かって左)一画に描かれています。
如来の大悲の徳で、三部のうち蓮華部にあたります。
四智では妙観察智に該当。
衆生の心性は蓮華のように泥にも染まず、もともと清浄です。
このことを妙観察智は衆生に悟らせます。
住民
蓮華部院には、観音菩薩以下の主尊で21尊、伴位で15尊が描かれ、合計36尊の仏様がいらっしゃいます。
同じく胎蔵界曼荼羅の金剛手院の主尊「金剛薩埵菩薩」と同じ位置で、中台八葉院に近い第一列中央に聖観音が位置しています。
聖観音の周囲には変化観音が集まっています。ただし、千手観音・十一面観音は例外で、虚空蔵院 ・蘇悉地院に配属。
経文では、第一列に属する7尊と諸吉祥を説いているだけで詳しいメンバーが分かりません。
現図曼荼羅では、金剛手院とのバランスから、不空羂索経その他の儀軌から集めて体裁を整えています。
また、「阿闍梨所伝曼荼羅」には40余尊を列ねています。
経文と「現図曼荼羅」諸尊との対照
経文と「現図曼荼羅」諸尊との対照は次のとおりです。
現図曼荼羅:「大日経」具緣品(A)秘密品(B)
*印は单独項目
第一列:向かって右側
- 蓮華部発生菩薩
- 勢至菩薩* A
- 毘倶胝菩薩* A・B
- 奉教使者
- 聖観自在菩薩(聖観音・観自在菩薩A・B)
- 多羅菩薩*(蓮華部明妃)A・B
- 多羅使者
- 大明白身観音
- 蓮華部使者
- 馬頭観音*(大力持明王・馬頭明王)A・B
第二列:真ん中
- 大随求菩薩*(随求大明王)
- 蓮華使者
- 薩埵婆大吉祥菩薩(戴塔吉祥)諸吉祥(a)
- 耶輸陀羅菩薩A・B
- (蓮華使者)
- 如意輪観音*(b)(d)
- 宝供養使者
- 大吉祥大明菩薩(B・吉祥観世音菩薩)(a)(b)
- 鬘供養使者
- 大吉祥明菩薩(B・吉祥菩薩)(a)(b)
- (蓮華部使者)
- 寂留明菩薩(a)
第三列:向かって左側
- 被葉衣菩薩(葉衣観音*)(e)
- 白身観自在菩薩(a)
- 豊財菩薩(資財主・B)(a)
- 使者
- 不空羂索観音*(a)(b)
- 蓮華部使者
- 水吉祥菩薩(水月観音)(B・諸吉祥)(a)(b)
- 焼香供養使者
- 塗香供養使者
- 大吉祥変菩薩(B・諸吉祥)(a)(b)
- 蓮華部使者
- 白処観自在菩薩(白衣観音・白住処観音)*A·B(a)(b)
注釈
- 蓮華部発生菩薩:蓮華種族生菩薩とも。密号は無尽金剛、三昧耶形は未敷蓮華
- 大明白身菩薩:密号は常浄金剛・放光金剛、三昧耶形は開敷蓮華
- 薩埵婆(率覩波)大吉祥菩薩:別称は戴大塔吉祥菩薩、密号は利益金剛・利楽金剛、三昧耶形は開敷蓮華
- 耶輸陀羅菩薩:別称は名称慧菩薩、密号は示現金剛、三昧耶形は花枝・楊柳
- 大吉祥大明菩薩:別称は吉祥観世音菩薩、密号は霊瑞金剛、三昧耶形は開敷蓮華
- 大吉祥明菩薩:別称は吉祥菩薩、密号は常慶金剛、三昧耶形は蓮華
- 寂留明菩薩:別称は施婆訶菩薩、密号は定光金剛、三昧耶形は開敷蓮華
- 白身観自在菩薩:別称は白尊者菩薩・白観自在菩薩・大白菩薩、密号は普化金剛、三昧耶形は開合蓮華・蓮華
- 豊財菩薩:別称は資財主、密号は如意金剛、三昧耶形は未敷・開敷の二蓮華
- 水吉祥菩薩:水月観音と同体、密号は潤生金剛、三昧耶形は蓮華
- 大吉祥変菩薩:別称に大吉変、密号は動用金剛、三昧耶形は開合蓮華・未開蓮華
以上のうち、
- 大明白身観音・白身観自在菩薩・白処観自在菩薩の三白
- 大吉祥大明菩薩・大吉祥明菩薩・水吉祥菩薩・大吉祥変菩薩の四吉祥
を合せて七白吉祥といいます。
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