意味
如意輪観音とは観音菩薩のうち変化観音の一つで、六観音(七観音)にも数えられます。
左手に如意宝珠という宝玉を、右手に輪を持っています。
- 如意は宝珠で、法輪をもって衆生の願望を成就させる意味。
- 延寿・安産・除難を祈って功徳あり。
三昧耶形は如意宝珠、紅蓮華。
正式名称は如意輪観世音菩薩。
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- 別名:如意輪菩薩・如意輪蓮華峰王・無障礙観自在
- 密号:持宝金剛
役割・御利益
如意宝珠は福徳を、輪は智徳を意味します。
そのため、如意輪観音は福智の二徳を揃い整えてくれます。
また、宝部の三昧に入って、世間・出世間を問わず、受苦の衆生に宝財を施し、願望を成就させてくれます。
具体的に、財福、福徳授与、安産、智慧、延命などの御利益あり。
キャリア
日本では、奈良時代から造像。
奈良時代にかなり人気をもったため、半跏思惟像をほぼ同義に如意輪観音の名前で呼んできました。
密教になってからも、一例に醍醐寺では、四度加行の十八道本尊としたり、修法に如意宝珠法のほか聡明強記を求める如意輪求聞持法があったり…。
形姿
二臂像は密教以前の像です。
ふつう六臂像で、坐像は輪王坐で変化のある姿勢。右の第一手は思惟手で本像の特色。
弘仁仏には観心寺に豊満な坐像(秘仏)があり、宝生寺・醍醐寺・岡寺などに名作がたくさんあります。
二臂像
- 如意輪陀羅尼…身体は金色、化仏、左手に開敷蓮華(如意宝珠あり)、右手に説法印を所持
- 如意輪観門義…身体は黄金色、右手に如意宝珠、左手に金色の大蓮華を所持
- 転輪聖王経…左手に宝珠のある宝蓮華、右手は乳の下に当てて宝珠を所持(覚禅鈔より)
四臂像
- 転輪聖王経(転輪王経)…池中の山上にある紅蓮華に坐り、左足を垂れる。化仏。左手に蓮華・白珠、右手に念珠・梵甲を所持。
六臂像
密教として最もよく見られる、如意輪観音の腕数です。
六臂に六道の救済する意味があります。
「観自在菩薩如意輪瑜伽」「観自在如意輪菩薩瑜伽法要」などの記述をもとに如意輪観音の六臂像をまとめます。
身体は金色、頂韾は宝で厳し、冠に自在王(化仏)説法相に住し、右手は次第に思惟手(地獄)・如意宝珠(阿修羅)を按じ、蓮華(人界)・輪(天界)を持ちます。
なお、持物の相違ある軌もありますが、本尊の特色である輪王坐を説いていません。
八臂像
左右第一手は頂上に挙げて合掌、左手は日珠宝珠・蓮華瓶、右手は月珠・法輪・三鈷杵を持ちます。
台座・侍衆は次の十臂像に近いです。
十臂像
左右の
- 第一手…頂上で合掌
- 第二手…左手に日輪、右手に月輪
- 第三手…左に如意宝珠、右に輪
- 第四手…左に青蓮華のある罐、右に金剛杵
- 第五手…左に隅索、右に念珠
このうえで、頂上から大光を放って十方の大地を照らしています。七宝の瓔珞で荘厳。
地中より湧き出た十地菩薩の2手の上に立っています。
左辺に帝釈天・持国天・増長天、右辺に梵天・多聞天・広目天が侍して、各自が鬼類を従えています。
十二臂像
十臂像をベースに、第六手は心に当てて自在神通如意神力印を結んでいます。
池中から出た白蓮華座に立ち、左右に金剛蔵王菩薩・軍荼利菩薩が侍し、上に2天人が供養しています。
「図像鈔」には蓮華座の坐像に描いています。秘仏の観心寺蔵が有名。
如意輪曼荼羅
如意輪観音を中心にした曼荼羅。
次の数種があります。
如意輪陀羅尼経(菩提流志訳)
壇法品所説を訂正した「曼荼羅集」には、内外二院の方形式になっています。
内院
三十二葉蓮華(八蓮の四重)。
これらを複瓣のように配列し、金剛杵文様で界しています。
外院
金輪王仏頂要略念誦法(不空訳)
三昧耶形と種子で方形四重式を出しています。
内院
- 第一印院…般若経と如意宝珠
- 第二院…四方に般若菩薩・不動明王・金剛菩薩・胎蔵菩薩と四隅に内四供養菩薩
- 第三院…外四供養菩薩・四摂菩薩のほか、八大菩薩(不空観音・虚空蔵菩薩・地蔵菩薩・月光菩薩・日光菩薩・普賢菩薩・文殊菩薩)。
外院
不動明王、軍荼利明王、水吉祥菩薩、如意輪観音菩薩、四隅の四天王のほか15天を配します。
異図がいくつか存在。
七星如意輪曼荼羅
七星如意輪経(不空訳)に七星を眷属として、内外二院に分けます。
内院中央を八幡輪で区画し、中央に如意輪王菩薩、各輻輪に七星(天女相)と訶梨帝母を配し、内院の四隅と外院に八供養菩薩と四摂菩薩を安置しています。
(参考)如意輪陀羅尼経
- 菩提流志訳(709年、唐・中宗)…雑密。如意輪法。10品で如意輪観音の印明・壇法・護摩法を説きます。入唐八家が将来していません。
同本異訳に
- 観世音菩薩如意摩尼陀羅尼経(略語・如意摩尼陀羅尼経)…宝思惟訳
- 観世音菩薩秘密蔵如意輪陀羅尼神呪経(略語・如意輪陀羅尼神呪経)…実叉難陀訳
- 観自在菩薩如意心陀羅尼呪経(略語・如意心陀羅尼呪)…義浄訳
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