概要
仁王経とは、法華経・金光明経とならび国家鎮護に必要な経典(護国三部経)の1つ。
2種類が伝わります。
特徴
仏の説法によると、十六大王国のために国を護り安穏にするためには、般若波羅蜜を受持すべきです。
仁王経を受持して講説すると、災難を滅して幸福を得ます。
法華経・金光明経とともに護国三部経として、仁王般若波羅蜜(鳩摩羅什訳)が用いられ、仁王会が設けられました。
仁王会
仁王会とは、天下泰平の鎮護国家を祈願するために、仁王般若経を講讃する法会。
この経典によると、国土が乱れたり、災害や賊の難があったりしたとき、この経を受持・読誦すると、五穀が豊かに実り、人民が栄えます。
中国でも行なわれていました。
日本では660年に開始。
ほかに、一代一度、全国百処の仁王会、国家の大事が起こったとき行なう臨時の仁王会、春秋二季の仁王会、幕府の仁王会な どがありました。
仁王経法
仁王経にもとづいて鎮護国家を祈る密教の最大秘法。
四種法をカバーしますが、とくに息災法に強いです。
空海は、810年10月27日、国家の奉為に修法しようと請ふ表(性霊集巻四・20)に、請来した経典中に国王のために説く経典として、仁王経(不空訳)、守護国界主経 (般若・牟尼室利訳)、仏母明王経(不空訳)を記載しました。
とくに仁王経の護国品・奉持品の所説を本拠として、後には東寺講堂に安置する21尊を仁王経曼荼羅と称しました。
そして、同軌には五菩薩、五明王、五方天を説き、さらに五仏と梵天とを加えました。
ただし、本尊には諸説があります。大日如来(真然説)、広沢流は般若菩薩、小野流は不動明王。
また、般若菩薩と不動明王の和合した尊とする典拠はありませんが、右に剣(教令輪身)・左に輪(正法輪身)をもつ姿を深秘とします。
大法ですので、大壇・護摩壇・十二天壇・聖天壇の4壇を構えても後七日御修法に準じます。
仁王経曼荼羅
仁王経法に用いる経法曼荼羅の一種。
仁王経軌(不空訳)
仁王経軌(不空訳)には四重方式の敷曼荼羅を三昧耶形で示しています。
内院中央の十二輻輪と、四方にある五鈷杵(東)・金剛宝(南)・金剛剣(西)・金剛鈴(北)で五方菩薩(五大菩薩)を表現。
四隅には内四供養菩薩の三鈷杵・宝冠・箜篌・羯磨杵を設置。
第二重には四隅に宝瓶ばかり4個。
第三重には四門を建てて四摂菩薩と、四隅には外四供養菩薩を配置。
第四重には、四方各正面に二器を並べて、四隅には金剛杵を描く三昧形。
空海の創案
東寺の講堂に並ぶ21尊の配置。
構成は、
自性輪身の五仏、正法輪身の五大菩薩、その教令輪身である五大明王、守護神としての四天王・梵天・帝釈天。
方向関係は次のとおりです(これに梵天を加えて21尊)。
●制作中●●
仁海の指導
三重方式。
内院中央には不動明王坐像(左手に輪宝、右手に剣、四方に四方菩薩と四隅の内四供養菩薩を三昧耶形で示しています。
第二重の四方に四大明王(四菩薩の忿怒形)と四隅に賢瓶。
外院の四門中に四摂菩薩、四隅に外四供養菩薩、以上の各尊の間に一尊ずつ四天王と帝釈・火・水・風の八天を配置。
火水風の三天は世間の災害中で多いため、とくに加えて、息災法の主旨に合わせています。
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