意味
尊勝陀羅尼経とは大乗仏教の経典の一つ。
正式名称は仏頂尊勝陀羅尼経。
この経典の目的は、波乱万丈の世に生きる衆生を救うこと。
ご利益・功徳
地獄・畜生といった悪道から救われます。
追善供養としては、土をつかんで陀羅尼を唱え、その土を亡者の遺骨に振りかけると、亡者は天に生まれます。
ほかにもご利益や功徳がたくさんあります。
列挙してみます。
- 災害や災難を滅し、困難にある人々を救う
- 罪をなくし、善行を生み出す
- すべてのカルマの障害を浄化する
- 福を増やし、寿命を延ばす
- 阿耨多羅三藐三菩提を得る
- 幽界の衆生を救済する
- 鳥鳥類や爬虫類などの動物に恩恵を与える
- 智慧を高める
- 定まったカルマを元に戻す
- さまざまな病を取り除く
- 地獄を破壊する
- 家内安全、一族の誇りを受け継ぐ子宝を授かる
- 夫と妻を調和させる
- 敵意と憎悪を取り除く
- スカーヴァティや他の浄土に生まれ変わることができる
- 餓鬼が負わせた病気を治す
- 雨乞いをする(請雨法)
エピソード
平安時代中期、天台宗の僧侶の尊意僧正が尊勝法で請雨をしたところ効果があり、それ以降、とくに朝廷で尊ばれるようになりました。
十の扉(盂蘭盆経)
大法師法綽(唐代)の「盂蘭盆経」によると、この陀羅尼の偉大で比類ない功徳は、次のように十の扉として分類できます。
内容
善住天子は七日後に死んで畜生悪道の身体を七返受けるはずでした。
この天子を救済するために、釈尊は「陀羅尼」を教示します。
訳書
現存する同経の漢訳は次のとおりです。
- 杜行顗訳(679年)
- 地婆訶羅訳(682年)
- 仏陀波利訳(683年)
- 義浄訳(710年)
ほかに、施護訳(朱)や、地婆訶羅の別訳とて「最勝仏頂陀羅尼浄除業障呪経」もあります。
歴史
この経典は、679年から988年の間にサンスクリット語から中国語へ8回も翻訳されました。
翻訳をきっかけに中国で広く普及し、唐の時代から活用され、のちに東アジア他地域にも広まりました。
経典は五台山にも関連し、中国仏教の伝統として五台山は文殊菩薩の菩提寺とされています。
仏頂尊勝
そもそも仏頂尊勝とは、「胎蔵界曼荼羅」釈迦院にある五仏頂の一つ。
釈迦如来の仏頂から現出した輪王形をしていて、仏頂尊のうち最勝のものです。
密教ではこの仏頂尊を本尊として、息災・除病の法を修することがあり、この修法を尊勝法といいます。
また、仏頂尊勝陀羅尼とは、仏頂尊勝の功徳を説いたもので、87旬から構成されています。古来から霊験があるとされ、密教や禅宗で用いました。
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