意味
十二天は天部メンバーの仏尊のうち12尊をいいます。
一切の天龍・鬼神 ・ 星宿 ・ 冥官を総摂。
メンバー
護世八方天が最初の群。
- 東方・帝釈天:蘇迷盧等の一切諸山天鬼主
- 東南方・火天:諸の火神・持明神仙衆の主
- 南方・焔摩天:五道冥官・行疫神餓鬼の主
- 西南方・羅刹天:諸の羅刹・食血鬼衆の主
- 西方・水天:川流江河大海・諸神龍衆の主
- 西北方・風天:諸の風神・無形流行神の主
- 北方・多聞天:諸の夜叉、吞食鬼神の主
- 東北方・伊舎那天:諸の魔衆の主。
これに次の諸天を追加。
キャリア
古代顕教の護法神である四天王から、中世になると、密教の十二天へと人気が推移しました。
仏様の等流身
- 施八方天儀則
- 供養護世八天法
- 十天儀軌
- 供養十二天威徳天報恩品
- 十二天供酸軌
これら儀軌5種と密教において、十二天は仏様の等流身。
このため、十二天を恭敬供養すべきものとして、後七日御修法などの大法に付属して供養します。→修法
灌頂には十二天屏風を用い、十二天曼荼羅を作ります。
四天王と十二天
両者は同じ護法神ですが、中世の動向に異変が。
顕教では、四天王が須弥山の四面中腹に住んでいて、仏様の座を守護します。
他方、密教では、本来の機能を失わずに、外道の神々を十二天に再編成したので、護法神として四天王に代って盛行しました。
文化財
四天王は彫像を主としますが、十二天の遺品は絵画に限られています。
絹本著色十二天像附三幅(水天・梵天・地天)
岐阜県、鎌倉~南北朝時代、室町時代、(附)江戸中期~明治時代、岐阜県岐阜市大宮町2-18-1、岐阜市指定、指定年月日2018年02月28日、真長寺、有形文化財(美術工芸品)
十二天像
日本画 / 奈良県、鎌倉時代・13世紀、絹本・著色・金泥・掛幅、大宝院(三重県)旧蔵、重要文化財
紙本白描十二天図像〈/(珍海本)〉
- 種別:絵画
- 国:日本
- 時代:平安
- ト書:(羅刹天、水天、伊舎那天、梵天、地天、日天)
- 指定番号(登録番号) : 01479
- 国宝・重文区分:重要文化財
- 重文指定年月日:1959年12月18日
- 所在都道府県 : 大阪府
- 所在地 : 大阪歴史博物館 大阪府大阪市中央区大手前4-1-32
- 保管施設の名称 : 大阪歴史博物館
- 所有者名 : 地方独立行政法人大阪市博物館機構
十二天絵画の代表作は西大寺蔵の国宝「十二天画像」。平安中期の作品で各幅三尊形式が獣座に乗っています。
旧教王護国寺所蔵の絵画は、三尊式で草座に坐る平安後期の作品です。
その他
- 奈良国立博物館…旧大宝院本
- 聖衆来迎寺…高階隆兼画と伝える板装
- 広隆寺…伝巨勢金岡筆
- 岡山長福寺…伝増吽筆
- 醍醐寺…十二天に先行する空海請来の十天形像の図像
十二天曼荼羅
供養護世八天法
「供養護世八天法」に拠る二重方形式。
内院に四臂不動明王のみ、外院に八方天のほか、東方に梵天・地天、西方に日天(九曜の代表)・月天(二十八宿の代表)。
中尊が不動明王なので「不動曼荼羅」とも。
十二天供儀軌
「十二天供儀軌」に数種あり。
- 不動明王を中心に、周辺に八方天、その中間四隅に日天・月天・梵天・地天を配置(西面が下方)。
- 四重方形式で、内院中央に不動明王、四隅に四大明王、第二院に八方天(南面)と東西に日天・月天が それぞれ七曜・二十八宿を兼ねて並んでいます。第三院に天妃を配し、外院には当所の明神・名神などの座としています。
鎌倉時代の遺品
鎌倉時代の遺品に山口・国分寺蔵(重要文化財)があります。
これは、
- 内院…四臂の不動明王を単独に囲んでいます。
- 外院…右に5尊ずつ、上下に各1尊ずつの、それぞれ三尊・五尊形式の十二天坐像を配し、さらに上下尊の隙間に諸尊を加えています。
つまり、もりだくさんの胎蔵界式の曼荼羅図。
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