真言宗は仏教の宗旨の一つ。平安時代の初め、唐から帰国した空海が開きました。呪文の力で即身成仏することを説いています。
基本情報
- 教主:法身大日如来
- 経典:両部大経…①大日経(善無畏訳)+②金剛頂経(不空訳)
- 副次経典:蘇悉地経、瑜祇経、釈摩訶衍論、菩提心論、大日経疏などの経軌・論釈
- 空海経典(自撰):十住心論、秘蔵宝鑰、辯顕密二教論、即成仏義、声字実相義、吽字義、般若心経秘鍵など
- 異称:真言陀羅尼宗、秘密宗、曼荼羅宗、瑜伽教、瑜伽宗、陀羅尼宗、三摩地宗など
キャリア
付法八祖・伝持八祖(住持八祖)
付法八祖
金剛薩埵が相承して南インドの鉄塔に蔵していたものを、龍猛(龍樹)が伝持し、インドの龍智・金剛智、中国の不空・恵果が、日本の空海と次第相承したのを付法八祖といいます。
伝持八祖(住持八祖)
大日如来・金剛薩埵をのぞいて、龍猛、龍智 、金剛智、善無畏、不空、一行、恵果、空海と伝えたのを伝持八祖(住持八祖)といいます。
教義
六大、四曼、三密の三大円融を説きます。
両界曼荼羅を建てて即身成仏を本旨とします。
教判には顕密二教判と十住心による横竪二判を建てる純密教です。
空海は806年に帰朝してから、高野山金剛峰寺と教王護国寺(東寺)を根本道場としました。
歴史
弟子に実慧・真済・真雅・真如らの高僧が多く、宗風を宣揚したこともあって、平安時代をとおして各方面へ影響が広がりました。
事相の展開
事相の伝承は空海の100年後。
小野・広沢の2流を出して、ついで12流から70余流に分かれました。
教相の展開
1140年(平安時代末期)、興教大師の覚鑁は、金剛峯寺・東寺側の主張する大日如来本地法身説に対して、自性加持身説を唱えて分裂。
加持身説を新義真言宗というのに対し、従来の系統を古義真言宗といいます。
新義派
新義派は和歌山県根来寺に依拠しましたが、のちに豊山派(長谷寺)と智山派(智積院)に分かれました。
古義派(古義真言宗)
高野山真言宗、真言宗山階派、真言宗醍醐派、真言宗御室派、真言宗寺派、善通 寺派、真言宗泉涌寺派などがあります。
真言律宗
鎌倉時代初期、真言宗の西大寺叡尊が律宗復興につくし、いわゆる南都律を興隆します。
これが西大寺派の律宗のはじまりで、真言律宗といいます。
真言律宗では、四分律・網戒が并修され、どのくらい真言宗の大日経の正旨が融合させられたかは不明です。
江戸時代はじめ、真言僧の明忍も律宗の復興につくし、のちに浄厳慈雲も努力しました。とくに慈雲は正法律を説きました。
1895年、西大寺をもって真言律宗の本山とし、いまに至ります。
関連情報
中世から親しまれてきた入門書に「真言名目」があります。
大阪市内にある真言宗寺院の一覧は真言宗をご覧ください。
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