意味
語源
供養の語源はプージャー(pūjā)やプージャナー(pūjanā)。
いずれも「puj」という動詞にもとづき、この動詞には「尊敬する」の意味があります。
訳語として、供養のほかに、具・具供・恭敬・奉事・奉献・奉施・報恩供養・供施・供給など。
内容
もともと、供養とは、仏様(如来・菩薩・諸天など)・仏法・僧侶僧団(三宝)や死者の霊に対して、供物(香華や燈明など)を捧げることです。
時代とともに意味が広がり、今ではさまざまな供養のやり方があります(種類に後述)。
ここでは、供養の意味・特徴・種類などをわかりやすく説明しています。
特徴
バラモン教などには動物を使って行なう供犠があり、これと対立的に仏教は、不殺生を重視した祭儀形式を採用。
各地の原住民たちの風習、たとえば、油を塗り、香を焚き、花や水を供え、燈をともす風習を採用したようです。
意味の広がり
インドの原型
古来、インドでは出家者に対する衣服・飲食・臥具・湯薬の四事供養からスタート。
仏滅後、仏塔・仏像・教団・比丘・比丘尼に資具・金銭・土地などを施与するようになり、精神面の恭敬・讃歎・礼拝なども含めて供養というようになりました。
僧団経済の展開
初期教団では、衣服・飲食・臥具・湯薬を主なものとして、僧団に施与されました(四事供養)。
のちに、仏様、塔廟、仏像、教法、僧侶・僧団に房舎・土地などまで施与するようになり、僧団経済の展開の枢軸に。
精神的崇敬の追加
他方、財と法の2種の別をいうようになり、恭敬供養、讃歎供養、礼拝供養というような精神的崇敬の態度や意味も供養に含むようになりました。
密教
密教では、塗香が穢れを浄め煩悩を除去するという供養説も現われ、供養儀軌(供養の法式)などが作成されました。
詳しくは「密教での供養」をご覧ください。
さらに、塔や廟が、仏様に代る祭祀の対象として供養塔の扱いになりました。
四天王寺の供養塔が有名です。
種類
のちの時代になるにつれ、一般の死者に対しても塔婆供養や、供物を捧げる回向などが行なわれるになりました。
いまでは、仏教行事における供養は、たくさんあります。
昔ながらの区別
対象による区別
供養の種類では、供養対象による区別がよく知られています。
やり方による区別
供養のやり方による区別では、たくさんの僧侶を集めて行なう千僧供養(千僧供養会)、無縁仏になってもお寺が行なう永代供養などがあります。
お寺の行事として供養を行う場合、とくに法要ということがあります(年忌法要、開眼法要、納骨法要など)。
ちなみに、年忌法要には、対応する仏尊が13体いらっしゃって、霊場めぐりもありますから、故人を偲んだり追善供養したりするに相応しい供養ができます。
合行法
合行法といって、一座中で主尊・眷属のほかに別の仏尊をあわせて供養することがあります。
2尊以上を合行するときは、主尊の供養法を修して、主尊の心月輪上に別の仏尊をならべて観じ、融会させます。
両部合行法とは、両界曼荼羅を一座に供養することで、金剛界大日如来の心上に胎蔵界大日如来を観じて、大法立ての別尊法でも、大日如来の心上に前尊を観じるようにします。
台密では他尊の供養法を併修する意に用います。
供物
供物とは仏様に供える物を意味しましたが、時代が新しくなるにつれ、故人も対象になってきました。
種類
よく使われる供物は、次の種類に大別されます。
- 花(供花)
- 菓子
- 飲料
- 果物
- 野菜
本来の供物
供物とは、インド仏教以来、供養や法要のときに、仏様や僧団に供える物として考えられてきました。
のちに、中国や日本では、仏様には供物、僧団にはお布施という区別ができました。
供物にはいくつかの種類があります。
- 法華経(十種供養)…華・香・瓔珞・抹香・塗香・蓋・幢幡・衣服・伎楽
- 密教(五種供養)…塗香・華・焼香・飲食・燈明
- 十地経(三種供養)…利養(財)・恭敬(香花幡など)・ 行
- 大日経義釈(四種供養)…香華・合掌・礼敬・慈悲・運心
詳しい説明は供物をご覧ください(^^)
供養法
供養法は修法ともいって、仏尊や経典を供養する作法のことです。
経軌・聖教にもとづき一定の作法があり、その次第を記しています。
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