大乗仏教の「色即是空」の考えを278字の漢字で簡潔に表した経典です。
概要
「般若心経」とは仏教の代表的なお経の一つです。
日本でもっとも普及した経文で、浄土教の各宗派で読誦されます。
略して心経、正式名称は般若波羅蜜多心経や仏説摩訶般若波羅蜜多心経。
「はんにゃしんぎょう」と読みます。
間違っても「はんにゃしんきょう」ではありません!
膨大な「般若経」の内容を凝縮し、般若皆空の精神をあらわした簡潔な経典です。
古くから日本でも耳慣れた「色即是空・空即是色」の名句も、この経典が読誦されるようになってから有名に。
意味
般若とは心臓・肝要の意味。
このことをふまえ、顕教では「大般若経」600巻の精髄を要約した般若皆空の経典と考えられています。
空海は「般若心経秘鍵」にて、「心」は慮知心(citta)に対する肉団心の意味だと解釈を加えました。
そのうえで、般若心経を般若菩薩の大心真言だと考えました。
キャリア
漢訳版現存
鳩摩羅什訳は日本に最初に入って来た心経で、玄奘訳が次ぎました。
これら2点は読誦用として最も広く用いられてきました。
これらを含め、漢訳版現存は7点あります。
- 鳩摩羅什訳:摩訶般若波羅蜜大明呪経
- 玄奘訳:摩訶般若波羅蜜多心経
- 法月訳:普遍智蔵般若波羅蜜多心経
- 般若・利言等訳:般若波羅蜜多心経
- 智慧輪訳:般若波羅蜜多心経
- 法成訳:般若波羅蜜多心経
- 施護訳:仏説聖仏母般若波羅蜜多経
3以下の4種は大本に当たります。
大本とは序分・流通分をふくむバージョン。恵運が847年に請来して長谷寺(奈良県桜井市)に伝えました。
対して小本は609年に請来され、法隆寺(奈良県生駒郡)に所蔵されました。
なお、チベット訳・蒙古語・梵語訳もあります。
音写版
ほかに、梵文を漢字で音写した「唐翻対字音般若波羅蜜多心経」(玄奘訳)があります。
これは、中国・敦煌の石室から発見され、重要資料となってきました。
コメント お気軽に♬