意味
摩利支天は天部に属する仏尊。
- 音写:威光陽焰(マリーチ/Mariciから)
- 訳語:威光陽炎、威光菩薩
- 三昧耶形:天扇(隠形の道具)
キャリア
役割・御利益
つねに太陽の前に仕えます。
武士の枕本尊とし、護身・ 得財・勝利を祈る摩利支天法を修します。
誕生
陽炎の神格化で、 もとインドの民間に信仰されました。
アドレス
「胎蔵界曼荼羅図像」には第二重院西方に配属。
展開
陽炎は捕まらず傷つかず。
この特徴により、インドでの民間信仰以来、隠身の術に長けた活躍が高く評価されてきました。
隠身により、障礙を除いて利益を増してくれると、インドの民間信仰に浸透。
帝釈天と阿修羅の戦闘では、日月を護って阿修羅を迷わしました。
日本中世には武人の守護神として信仰されました。
隠形法
自己の姿を隠して他人に覚知されなくする隠形法に摩利支天護身法を用います。
古来、忍者や武士が摩利支天を信仰したのはこの隠形を尊ぶためです。
形姿
猪に乗った童女の姿をしています。
二臂像
天女形をしています。
蓮華座(金色猪身)に坐します。
- 左手…天扇(払)を持ち、扇には卍字あり
- 右手…垂下
この形姿の出典は3つ。
- 摩利支天経(不空訳)
- 末利支提婆華鬘経(不空訳)
- 大摩里支菩薩経(7巻・天息災訳)
三面六臂像
「大摩里支菩薩経」によると、身体は紫金色、青天衣を着て荘厳。
三面各三目、頂に宝塔。
- 正面…黄金色で微笑
- 左面…黒色で舌を出す大醜悪相
- 右面…円満清浄相
左手に弓、線、 無憂樹の杖を持ち、右手に箭、針、金剛杵を持ちます。
三面八臂像
「大摩里支菩薩経」によると三目で、猪に乗り疾走します。
身体は閻浮檀金のように放光して、頭に宝塔を頂き、紅天衣を着けて各種荘厳具を備えています。
左手に羂索、弓、無憂樹杖、線を持ち、右手に金剛杵、針、鉤、笛を持っています。
- 正面…善形で微笑
- 左面…忿怒形
- 右面…深紅色で大光明を放光
日本での造像例は少いです。
文化財
片桐棲龍堂摩利支尊天神社廟
- 住居建築
- 大阪府
- 江戸時代・1814頃
- 木造平屋建、瓦葺、建築面積2.3㎡
- 1棟
- 大阪府堺市堺区西湊町3-1-16
- 登録年月日:20001018
- 登録有形文化財(建造物)
摩利支天画像(大念仏寺/大阪市平野区)
摩利支天の木版画像(融通念仏縁起)。大念仏寺宝物館の中に安置。
摩利支天立像(祥雲山地藏院/大阪市城東区)
イノシシ(猪)が背負う三日月の上に立っています。
形相は、正面が菩薩形、右が天童女形、左が亥形。
(祥雲山地蔵院、大阪市城東区鴫野西2-18-21)
コメント お気軽に♬