概要
室生寺は真言宗室生寺派の大本山で奈良県宇陀市に立地します。
昔の広大な寺域には比べられませんが、今でも境内の敷地面積はかなり広く、創建時の遺物に富みます。
堂塔すべて小形なため、かつて女人高野といわれ、女性参拝者で賑わってきました。
- 宗旨:真言宗
- 宗派:真言宗室生寺派
- 山号:宀一山・檉生山
- 院号:悉地院
- 寺号:室生寺
- 本尊:釈迦如来立像
- 所在:奈良県宇陀市室生78
トリビア
歴史
開山
創建は天武天皇の御願で、役行者の開創と伝え、また780年代に興福寺の賢憬が伽藍を興したといわれます。
空海の入山
824年に空海が入山して、三国相承の宝器を納め、如意輪観音像を彫刻しました。
さらに、山麓に伽藍を造建して真言秘密の道場としました。→真言密教
ついで慈尊院の堅慧が増建して仏隆寺を建てました。
中世
1213年頃から興福寺の所轄となって、唐招提寺や西大寺の僧が入住しました。
中世の詳しい事情は不明ですが、都会から離れていたため興亡の影響が少なくて済みました。
近世
1694年、護持院の隆光が入寺して豊山派へ移籍。
翌年に桂昌院から金2千両を下附されて堂塔を修理しました。
文化財
金堂
849年に建立。
五間四面の単層入母屋造檜皮葺をベースに、江戸時代に前面に一間の破風を付けて舞台造の四注造に改めました。
内陣は釈迦如来(実は薬師如来)立像を中心に、右に地蔵菩薩・薬師如来、左に文殊菩薩・十一面観音の立像を一列に並べています。
それぞれが極彩色の光背をそなえ、手前には十二神将の小像が並んでいます。
内陣後方の板壁には帝釈天曼荼羅が描かれています。→帝釈天
五重塔
弘法大師一夜造の塔と伝える15mほどの小塔。
824年の建築と伝えますが、様式は奈良建築。
1998年の台風第7号(ヴィッキー)によって巨木が五重塔に直撃。再建が危ぶまれたものの、見事に復元されました。
ゆるやかな勾配の槍皮葺屋根の重なりなど、周辺の緑のなかに丹色(紅色)の綺麗な人工美が溶け込んでいます。
その他
女人高野
本堂(灌頂堂)・御影堂と全体が女人高野にふさわしい小造り。
彫刻
金堂内の諸仏のほか、釈迦如来坐像は貞観彫刻の特色ある翻波式の代表作。
弥勒堂の本尊弥勒菩薩立像は唐式を思わせる擅像式の優秀な弘仁仏で、上半身裸の愛すべき姿をしています。
密教法具
創立当時のものを保存。
本堂に空海請来と伝わる仏具5個を収蔵しています。
周辺
もとは北門にあたる大野寺には、室生川の対岸に弥勒菩薩が石刻されています(1209年)。
地蔵堂には身代り焼地蔵があります。→地蔵菩薩
西門にあたる榛原町赤埴の仏隆寺には宝形造の石室があります。
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