概要
慈尊院は和歌山県伊都郡九度山町にある真言宗の寺院。
弥勒堂中心の慈氏寺と丹生高野両明神中心の神通寺の総称。
山号に万年山、俗称に孝養寺・結縁寺・女人高野。高野山を兜率内院にみたてて外院といい、極寒を避ける地で下院ともいいます。
「高野山の政所」として高野山山麓に立地し、825年に仁王会を始修しました。
高野山の表参道にあたり、空海が母君のために草創したと伝えられます。
特徴
有吉佐和子の小説「紀ノ川」の映画版にて、安産祈願で「乳房型絵馬」を奉納する場面で登場。
町石率都婆の起点。
空海の高野山経営
山麓の当地に舎庫蔵を建てて、真言の法文、衣鉢の資具、仏餉修理料などを納め、三綱などの管理職を設置。
寺領の増加にともない、年貢の収納事務、山上の資財集積、下級裁判権をもつ荘園管理など、政所としての職分を発揮しました。
弥勒菩薩坐像
空海が母君のために自作したと伝わる弥勒菩薩坐像は、秘仏として堅く守られてきたため、木造の彩色がよく保存されています(実際は892年の会理作のようです)。
参拝者
平安時代末期から高野参詣が急増。表登山口であり女人禁制になる山上が信仰の対象として大ブーム。
1540年、紀ノ川が洪水し、川辺から現在地に移転。
中世、高野聖の往来は直接に高野山上で事務を処理したため、参拝者は急減。
近年は交通の発達で参詣する者がさらに減少しています。
周辺
表参道を30町ほど西北へ登ると、伊都郡かつらぎ町上天野の丹生比売神社。
四所明神鎮座の別天地で、高野創建の鎮守神として室町時代中期の楼門や春日造の神殿4棟が林間に鎮座しています。
関連情報
- 慈尊院…公式サイト。寺院について、御祈願・年間行事・御守、見所、アクセスなど。
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