意味
転法輪菩薩は八大菩薩の一つで、内外の怨敵を降伏させる仏尊です。
正式名称は具纔発心転法輪菩薩。異名に共発意転輪菩薩。
「仁王経儀軌」では弥勒菩薩・金剛波羅蜜多菩薩と同体(不空訳)。
本軌の「転法輪菩薩摧魔怨敵法」(不空訳)は調伏法です。
個人的に降伏させるのではなく、国の内外の怨敵を調伏させる法を説いています。
曼荼羅菩薩と同一視するのは留保すべき。曼荼羅菩薩の曼荼羅を大輪明王曼荼羅といいます。
形姿
菩薩形で、左手に輪宝(金剛輪)、右手に宝珠のある蓮華を持っています。
眷属
十六大護
密教諸法の護持を担当します。
- 毘首羯磨
- 迦比羅
- 法護
- 肩目
- 広目
- 護軍
- 珠賢
- 満賢
- 持明
- 阿吒縛俱(以上、十大薬叉)
- 蘇摩那竜王
- 補沙毘摩竜王
- 縛蘇枳竜王(以上、三大竜王)
- 訶梨帝母
- 翳囉嚩蹉
- 雙目天后(以上、三大天后)
転法輪法
転法輪法は転法輪菩薩を本尊にして、怨敵摧破や国家安穏のために修する秘法。
調伏法の一つで、五個秘法や七個秘法に列せられます。
- 別名…摧魔怨敵法、摧一切魔怨法
- 略称…車水輪法、車去車法
自行のために修するときは、無明煩悩を菩提の大敵として降伏します。
転法輪菩薩摧魔怨敵法に「我れ今未来末法の時に国王を護持し及び国界の諸の有情を護らんと欲するが為の故に、秘密秘勝最密中の秘密たる摧覧怨敵の法を説かん」とあります。
1025年に仁海が初めて修しました。
儀軌に説かれていないため、どれが本尊かについて、さまざまな説があります。
弥勒菩薩・大輪金剛・摧魔怨菩薩・大威徳明王・金剛薩埵菩薩・降三世明王・金輪仏頂、また、無能勝菩薩・金輪菩薩・地蔵菩薩・不動明王・転法輪菩薩など。
名称の関係で、本尊を転法輪菩薩とみなすのが無難でしょう。
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