意味
吉祥天は、子供を守る仏様(鬼子母神)の子で、毘沙門天の妻です。
また、観音菩薩の化身とも考えられています。
別名に大吉祥天・大吉祥天女・功徳天など、密号に護法金剛。
仏様の世界では天部に属し、天女にも数えられています。
役割・ご利益
福徳円満の女神として古くから信仰されてきました。
一切の貧窮や業障を除いてくれます。
また、大富貴・富饒・財宝得石を約束してくれるなど、多くの功徳があります。
キャリア
もとまとインド神話の神。
中国・唐代に吉祥天信仰が盛んでした。
そのため、中国の貴婦人の姿をしていて、左手に宝珠を持つ吉祥天像がたくさん作られました。
日本でも奈良時代から平安時代にかけて吉祥天と辯才天が美しい女性の仏様だと、貴族たちに好まれました。
しかし、平安時代以降の神仏習合でうまく習合できず、鎌倉仏教とも結びつかなかったため、吉祥天の信仰は衰退。
吉祥天は辯才天と対照的な運命をたどりました。
形姿
- 顕教…天女形。左手に宝珠を持ち、右手は施願印。ハス(蓮)の形をした荷葉座に立っています。
- 密教①…天女形。袈裟を着て、左手に花を盛った荷葉を持ち、右手を胸に当てて千手観音に向かって供養するように立っています。対称位置に婆藪仙人(吉祥天の兄)が立っています。
- 密教②…衣服・鍛釧・七宝・瓔珞の各面で華美。蓮華を持って半跏趺坐しています(胎蔵旧図様より)。
吉祥悔過法
大極殿・国分寺で天下泰平や五穀豊穣を祈願する修法。
文化財
薬師寺に天平仏画、浄瑠璃寺に豊麗な彫像(藤原期)があるほか、名作が多いです。
時代とともに吉祥天信仰が衰退したため、吉祥天を本尊とする寺院は少ないです。
- 吉祥寺(東京都文京区)
- 吉祥寺(愛媛県西条市)
この影響から、辯才天と吉祥天が一緒に祭られている場合が多いです。
塑造弁財天吉祥天立像
- 彫刻、奈良時代、2躯
- 東大寺法華堂(奈良県奈良市)
- 国宝・重要文化財(美術品)
- 重文指定年月日:1902年04月17日
浄瑠璃寺吉祥天厨子
工芸品、木材、1基。→厨子
麻布著色吉祥天像
絵画、麻布・著色、奈良時代、1面。
- 国宝・重要文化財(美術品)
- 国宝指定年月日:1951年06月09日
「金光明経」にもとづいた雑密の尊像。
左手に宝珠を持つ唐風の天女形で、斜め向き。
唐画らしく、樹下美人図に似た豊頰な健康美に描かれています。
肩から垂らされた領中の薄い白絹が、多彩な衣装の文様を透して風に吹かれる姿までも表現。
吉祥天法
吉祥天曼荼羅
「陀羅尼集経」に依拠し、福徳を求める吉祥天法に用いる曼荼羅。
状景図で荘厳姿の吉祥天は左手に如意宝珠、右手は施無印して宣台に鎮座。
左(向って右)の梵天が宝鏡、右の帝釈天が散華し、後に七宝山。
天女像の上に五色雲に乗る六牙の白象は宝瓶から宝物を頂上に漕いでいます。四尊とも雲に乗ります。
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