意味
十一面観音は、六観音(七観音)の一つで、頭上に顔が十一面ある仏様です。
大光普照観音とも。密号に変異金剛。
日本で最初の変化観音です。
なぜ11面かについて所説があります。
- 十地十宝を満たし十一地妙覚を証する
- 十一億諸仏の説く神呪がある
面数では、頭上の10面と本面を合するもの(十面観音)や九面観音もあります。
役割・ご利益
除病・滅罪を祈ってくれます。
ギャラリー
形姿
面の並び方や二臂・四臂などから、さまざまな形姿があります。
よくある形姿は次のとおり。
- 頂上一面が仏面(如来形)…仏果を表示。十一面観音の表象である阿弥陀如来の化仏つき(11面各面に化仏バージョンあり)。
- 頭上:正面3面が菩薩形(寂静形)
- 右3面:威怒形
- 左3面:利牙出現形(狗牙上出面)
- 後1面が大笑面(笑怒形)
また、頭上面の配列にも、一層に10面を旋らせて、上層に1面の2層立てや、3層・4層、ときには縦一列に積重ねるなど、変化が多いです。
大別しますと、次のとおり。
二臂像
右手は無印で念珠と瓔珞を掛けていて、左手に蓮華を挿した瓶を持っています。
これを述べる出典は「陀羅尼集経巻4」の「十一面観世音神呪」 (阿地多訳や耶香園多訳)や、「十一面神院心」(玄奘訳)など。
四臂像
胎蔵界現図曼荼羅の蘇悉地院の像。
本面の両側に各1面、中段5面、上段3面で、本面と合して11面。
右手は無印で念珠を掛け、左手は蓮華と軍持を持っています。
文化財
1つの仏像で11個の顔を拝めるのでお得感あり!
それをいうなら、いろんな施しを受けられそうな千手観音も負けてない!
聖林寺・観音寺(京都府)の天平仏(木心乾漆)をはじめ、平安時代初期には法華寺・室生寺(奈良県)、向源寺(滋賀県)、道明寺(大阪府)の木彫(以上国宝)などの遺作がもりだくさん。
彫像
密教輸入後、盛んに製作されてました。
大阪府内の所有寺院
名作の所有寺院
名作といわれる彫像の所有寺院を列挙します。
このうち、観音寺本堂に安置する国宝は、とくに有名です。
木心乾漆十一面観音立像(観音寺本堂安置)
- 木心乾漆十一面観音立像(本堂安置)
- 員数:1躯
- 種別:彫刻
- 国:日本
- 時代:奈良
- 寸法・重量:高さ172.7cm
- 指定番号(登録番号):00068
- 枝番:00
- 国宝・重文区分:国宝
- 重文指定年月日:1909年04月05日
- 国宝指定年月日:1953年03月31日
- 所在都道府県:京都府
- 所有者名:観音寺
観音寺は、奈良時代建立の普賢寺の後身でたびたび焼失。
鎌倉時代に近衛家の援助で再興しましたが、戦国時代に滅亡。
現在の本堂は1953年に再興されました。
(大御堂観音寺:京都府京田辺市普賢寺下大門13、JR学研都市線・近鉄三山木駅から奈良交通バスで「普賢寺」下車すぐ)
九面観音像(法隆寺大宝蔵院安置)
十一面観音の異形。
法隆寺流記資財帳によると、719年に唐より輸入され、檀像に相当する唐朝盛期の作品。
白檀を使った一木彫で34cmの小像。
頭上に突出する如来面(正面欠損)以外は、身体から離れた領巾・瓔珞・耳璫(耳鐶)・宝瓶・念珠から台座まで一木。緻密な彫法です。→木彫
本面の頭上には、
- 正面2面:菩薩形
- 左2面:嬉笑形
- 右2面:瞋怒形
- 後1面:大笑面
- 頂上1面:如来面
本面ふくむ9面それぞれに化仏を彫出。その精巧さは檀像の特色を発揮しています。
絵画
独尊像の立像
- 金心寺(兵庫県)…筋光のある図
- 志度寺(香川県)…画面に溢れる図
独尊像の坐像
- 太山寺(兵庫県)
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