概要
維摩経とは初期の大乗仏教の仏典の一つで、聖徳太子が日本で初めて解説しました。
「法華経」にならんで、聖徳太子のころから戯曲的展開の面白さで親しまれてきました。
梵語原典名はVimalakīrti-nirdeśa Sūtra(ヴィマラキールティ・ニルデーシャ・スートラ)。
長らく、梵語原典は「シクシャーサムッチャヤ」(大乗集菩薩学論)に引用文として、断片的に覗けた程度でしたが、原典の写本が20世紀末に発見されました。
漢訳は3種が残存しています。
内容
在家菩薩のヴィマラキールティ(維摩)が出家の十大弟子を論破して、また、マンジュシリー菩薩(文殊菩薩)との軽妙な対話を通して、「空」や「無相」の思想、在家仏教の真価、大乗仏教の面白さを明らかにします。
あらすじ
主人公のヴィマラキールティは、商業都市ヴァイシャーリ(吠舎離)の富豪。
大乗仏教の奥義をきわめた菩薩の設定です。
やがて維摩は「衆生が病むから自分も病む」という病になります。
その維摩のもとへ、仏弟子を代表してマンジュシュリー(文殊菩薩)が訪ねます。
物語は問答形式で展開。
また、問答の間に書かれた挿話では、仏弟子の一人一人が維摩にやりこめられて手も足も出ない話がいくつも。
特徴
在家者ではあっても、宗教的精神にあふれている維摩が、教説に囚われて身動きのできない教団人たちを手玉にとるところに可笑しみや趣きがあります。
在家対出家の構図から、大乗仏教の在り方を知る大きな手がかりになった仏典たいえます。
維摩会
維摩会は奈良の興福寺で10月10日から7日間、維摩経を講じて供養する法会。
657年に藤原鎌足が山階寺を建立して、その翌年に福亮を招請して講じたのが最初。南京三会の一つです。
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