概要
羅漢とは、尊敬を受けるに値する人の意味。
もう少し仏教的にいえば、煩悩を抑え、人から供養を受ける資格のある人です。
中国でも日本でもとくに禅宗で崇敬されてきました。
十六羅漢、五百羅漢などで知られています。
正式名称は阿羅漢で、アルハト(arhat)の主格形アルハン(arhan)の音写。

1986年に香港で制作されたカンフー映画「阿羅漢」は読み方に「あらはん」を当てています。原題が「南北少林」で、南派少林寺と北派少林寺との連合がテーマ\(^o^)/
キャリア
立場
小乗仏教と大乗仏教で羅漢の立場が違います。
- 小乗仏教では修行の完成者
- 大乗仏教では如来・菩薩以前の声聞第四果として修行中の者
いすれにしても、羅漢といわれる人たちは、次の功績を残しています。
- 一切の煩悩を断滅
- やるべきことを完遂
- 学ぶべきものがない
- 人々から供養や尊敬を受けるに適格
声聞の到達できる最高の境地にいます。
とくに天台宗や禅宗では羅漢を重視。修行中の者として尊崇し、遺品が多いです(形姿はさまざま)。
賓頭盧尊者

真言宗興徳寺の賓頭盧尊者(大阪市天王寺区)。2022年4月23日に撮影。

真言宗了徳院の賓頭盧尊者(大阪市福島区)。2023年5月12日に撮影。
賓頭盧尊者は十六羅漢の第一尊者(賓度羅跋羅墮闍)と同体。
衆生のために斎会を営んで食事を供したエピソードが豊富で、よく単独して食堂に安置されます。
また、病気平癒の伝説から、寺院の外陣に、安置されることがあります。
昔は撫仏として、病気平癒を祈る人々に親しまれましたが、逆に病気を媒介するとして、今ではこの風習は減っています。
文化財
描かれ方
釈迦如来の眷属として描かれますが、もともと、正法護持のために思想的に編み出された修行者たちの群れ。
群れとして描かれますから、十六羅漢、やがては五百羅漢へと拡張。
十六羅漢像
日本の十六羅漢像には中国の唐・宋の画風を写した異形のものが多いです。なかには和様羅漢という温顔のものも。
- 前者の代表作:御物である禅月様の像で、清涼寺・高台寺の諸本
- 後者の代表作:東京国立博物館・法隆寺の諸本
十六羅漢に慶友尊者を加えた文化財もあります。
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