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写経

法事・供養
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概要

樺皮に書かれた仏教写本。大英博物館所蔵。

写経しゃきょうとは筆写した仏典のこと。

仏典を筆写することは「写経する」と、動詞で使います。

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大乗仏教の特徴

インドの初期仏教では、経典は記憶によって伝承し、筆写しませんでした。

大乗仏教の諸経典は書写の功徳を説いていてます。

大乗経典による写経の推しアイテムは次のとおりです。

  • 材料:多羅葉・素帛・金・竹帛・紙・槐皮・樺皮など
  • 用具:筆墨・棘刺など

遺品

西域のコータン(于闐)に出土した仏典類の断片が樺皮に墨で記されています。

西暦0年頃の筆写のようで、金か銅の薄片に刺痕を連ねて経文を記したもの。

とくにダンダン・ウィリク遺跡から出土した写経は、ブラフミー文字で書かれたものが多く、インドから伝来したと考えられています。

ブラフミー文字はインド最古の文字体系で、梵語やパーリ語などを表記するために使われました。

材料

古写本としてもっとも多い材料は、古くは貝葉、新しくは紙に墨筆を用いています。

セイロンなど南方系統の地方では、貝葉に尖筆で痕をつけた後に墨を入れています。

文字

前記、コータン(于闐)に出土した仏典類の断片はカローシュティー文字で書かれています。

梵語系の写本ではグプタ文字が多く、パーリ語系の写本はセイロン文字などを用いています。

カローシュティー文字とは、古代の南アジア西北部から中央アジアにかけて使われていた文字。他の文字体系に影響を与えないまま滅亡。

中国

展開

後漢時代に仏典の漢訳がはじまると同時に筆写されたようです。

写経はだんだん盛んになり、北魏時代にはすでに一切経の書写が行なわれ、隋唐時代には民衆にも普及。

北宋時代以降、印刷術の発展にともない衰微しました。

遺品

大谷探検隊が日本に将来した、296年書写の「諸仏要集経」巻下の断片をはじめ多数存在。

様式はほとんど巻子本で、敦煌本には貝 葉を模したものもあります。

文字は、六朝時代のものには隷書・八分など、隋唐時代以降は、おもに楷書で、なかには法華玄賛などの草書のものもあります。

字詰は、隋時代から1行17字に統一されたり、中国選述は一般に細字を用いたり。

日本

展開

中国の方式を模して、674年に川原寺で一切経を書写しました。

奈良時代には官設の写経所や、寺院、貴族らの写経所が建てられました。

天平時代に写経は最盛期をむかえ、書体もまた勝れていました。

平安時代には、ふつうの写経のほかに如法経、頓写経、装飾経、一筆経(一人で 一切経などを写す)なども行なわれました。

書体は大陸風に加えて和風も登場。

鎌倉時代以降に写経は衰微していきました。

遺品

京都市の小川広巳氏所蔵の遺品には、686年頃に書写した金剛場陀羅尼経かあります。

装飾経

装飾経そうしょくぎょうとは華美に装飾した写経。

「信力入印法門経」には、梵経の夾板に仏像を描くことが書いてあります。

現存の貝葉経にも遺例があり、また、仏名経の一仏名ごとに仏像を描いた事例が敦煌の写経に見られます。

歴史

紺紙に金泥で筆写した経典を紺紙金泥経こんしこんでいきょうといい、中国や西域で発達しました。

紺紙金泥経とは、紺色に染めた料紙に金泥で経文を書写した仏典。金色の経文は仏界や光明を象徴し、荘厳な効果をもたらすと考えられていました。

唐代(7~10世紀)に翻訳された大乗仏教の論書「大智度論」には、紫紙や紺紙に金銀字で書かれたものがあります。

また、天台宗僧侶の円仁が唐に渡って求法した際に記した日記「唐大和上東征伝」は、唐代に金字で書かれた華厳経や大般若経などが存在したことを伝えています。

日本で装飾経が頂点に達したのは平安時代末期のことで、鎌倉時代まで行なわれました。

種類

  • 色紙経(紺紙・紫紙・藍紙・紅紙・香紙など)
  • 下絵経
  • 一字宝塔経
  • 一字蓮台経
  • 絵入経(絵因果経の類)
  • 刺繍経

などがあります。

文化財

装飾経のうち、とくに華麗を極めたものは下絵経で、次のような遺品があります。

  • 久能寺経…静岡県清水市鉄舟寺等所蔵
  • 平家納経…広島県厳島神社所蔵
  • 慈光寺経…埼玉県比企郡慈光寺所蔵
  • 扇面写経…大阪市四天王寺所蔵

久能寺経

法華三部経30巻(法華経は28品を各1巻とする一品経)の写本。

雁皮紙に金銀の切箔・砂子をおいて下絵 文様を描き、見返しにその巻の経意を表わす絵があります。

製作年代は1141年頃。

美福門院・鳥羽院などの各巻で筆者を異にするようで、京都安楽寿院に納められたのち駿河久能寺へ移り、さらに鉄舟寺その他に分散しました。

平家納経

別名「厳島経巻」は法華三部経に阿弥陀・般若心経・平清盛願文を加えた33巻構成。

各巻で意匠が異なりますが、料紙をさまざまな色に染めて巻軸・縁(発装)外題に透金具・浮彫金具・螺鈿・ガラスなどを用いて意匠を凝らし、久能寺経よりさらに華美になっています。

慈光寺経

構成は平家納経と同じ32巻。

1270) の目録があり、筆者は宜秋門院など各巻別筆。

久能寺経や平家納経よりも装飾が地味です。

扇面写経

扇面法華経冊子(扇面古写経)、四天王寺所蔵(国宝)。

法華三部経を扇面形の料紙に彩色して下絵を描き、さらに24行に筆写して中央で折りたたんで粘葉綴にしています。

文字は下ほど細小。

1188年頃に作られ、四天王寺に納められていました。

現在は当寺に半数の5帖(98葉)と東京国立博物館に1帖(22面)を蔵するほか、法隆寺などにも散在しています。

このうち、四天王寺の宝物館に納まっているものが国宝の「扇面法華経冊子」(扇面古写経)。

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