概要
女人禁制とは男性に許された仏教制度の一部で、女性に認めてこなかった制度。
仏教戒律では、もっとも罪の重い4つの戒律を四波羅夷といい、婬戒・盗戒・殺人戒・大妄語戒を挙げています。
このうち第一「淫戒」の立前から、仏教々団では男女の群を完全に区別する方策を採ってきました。
具体例
たとえば、修行を混在して実施しても、かならず僧房を区別しました。
また、密教では、山岳の人里離れた場所を修行の道場とするため、女人結界と称して、女人の入ることを禁じる手段をとり、男女の混在を防ぎました。
「正法眼蔵」は女人結界の不可を説いていますが、修道者が増えると釈尊禁制の戒律を破る者も増えるので、道元は、未然に防ぐ用意として女人の登山を禁じました。
とくに高野山は、開創当初から厳重に女人禁制を敷いて、登山口に女人堂を設けました。
かわりに、女性の参詣を許す女人高野が、高野山麓の慈尊院、大阪府河内長野市天野の金剛寺、また、室生寺をはじめとする奈良県宇陀市の寺院群などに展開しました。
ただ、この制度も弛緩することが多く、1972年、太政官布告によって女性の参拝が解放されたものの、いまだに長年の風習が残って、とくに修験道では現在も賛否なかばしています。
女性を先天的に罪悪なものとみなす習慣は、男性側の意志の弱さを原始仏教時代から制度化してきたものだと正当化する考えもあり、また、この考えに対する反発もあります。
仏教における男女の歩み寄りは、まだまだ始まったばかり。
これからの歩み寄りを楽しみにしたいところです。
難しく考えずに、男女いっしょに仏寺めぐりをするだけでも、楽しく過ごせそうです。
コメント お気軽に♬