意味
光明真言とは真言(陀羅尼)の一つ。
日本では中世から信仰の深い真言です。
不空大灌頂光真言とも。略して光言。
本文
おん あぼきゃ べいろしゃのう まかぼだら まに はんどま じんばら はらはりたや うん
解釈
不空遍照の大印は宝珠・蓮華・光明の諸徳を具有し、これを転じて行者の身に満たさせる。(不空訳「不空羂索毘盧遮那仏大灌頂光真言」より)
キャリア
新羅の元暁・遊心安楽道が引用してから広く知られました。
不空の本経による御利益
- この真言を聞くこと2、3、7遍すれば、一切の罪障を除滅
- この真言をもって土砂加持すること108遍、その土砂を死屍または墓地に散ずれば、たちどころに罪報を除き、西方極楽国に往けて、菩提を獲得
金剛界五部に配当
失訳(偽経かも)「昆慮遮那仏説金剛頂経光明真言儀」1巻には光明真言の功徳を説いて、各句を金剛界五部に配当しています。
- 仏部:om amoghavairocana
- 金剛部:mahāmudrā
- 宝部:mani
- 蓮華部:pa-dma
- 羯磨部:jvala pravarttaya hūm
ほかの出典や役割
- 菩提流支訳「不空羂索神変真言経」巻27
- 不空訳「毘盧遮那仏大灌頂光明真言経」の灌頂真言成就品…灌頂授与の真言として使用
- 図像鈔…光明真言の本尊を大日如来として、この真言を用いて病障・鬼燒・眼病・毒虫などを除くために修するのが光明真言法(光明供)と説明
- 土砂加持の法…光明真言によって執行
映画「空海」のラスト、満濃池灌漑を終えて讃岐の農民たちと合唱しているのが、光明真言です。
光明真言四重釈
光明真言四重釈とは道範(1184年〜1252年)が選んだ光明真言の重要な注解書。
四重秘釈仮名鈔・光明真言四重秘釈とも。
光明真言の23字に ついて、4種の解釈をまとめています。
- 浅略釈…光明真言は大日如来・阿弥陀如来の心中秘密呪であり、誦持すれば正覚を生じて衆生を利益し、罪障を断除し、極楽に往生します。
- 深秘釈…この真言の各字句義は衆生の中心にある万徳を述べています。
- 秘中秘釈…この真言は五智如来の総真言で、四種曼荼羅円満の呪であることを明らかにしています。
- 秘々中秘釈…この真言は六大法界の呪で、万法すべてこの23字に摂せられます。
光明真言法
光明真言によって滅罪・除病・亡者得脱などのために修する秘法。
経軌によると、光明真言を唱えれば一切の罪障・宿業・病障を除いて、死者のためには阿弥陀如来が手を授けて極楽浄土に引導してくれます。
台密
光明真言法を一座行法に組織したのは台密の頼昭。
藤原頼通の没時(1074年)に修したのが最初です。
東密
白河天皇妃藤原賢子の崩時(1084年)に義範が胎蔵界大日如来を本尊として修法 しました。
それ以来、光明真言の信仰とともに盛んに修せられました。
一説には、顕教立の光明真言講に対して密教立の光明真言講を光明三味会といいます。
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