成立
華厳経とは、インドで4世紀末頃に成立した経典。
各地に成立していた大乗経典を集めて理論化しています。
正式名称は大方広仏華厳経。
種類
- 60 巻本…六十華厳・旧訳華厳経。419年〜420年にブッダバドラを漢 訳。三十四品。
- 80巻本…八十華厳・新訳華厳経。695年〜699年にシクシ ャーナンダを漢訳。三十八品。
- 40巻本…四十華厳・貞元経。795年〜798年にプラジュニャを漢訳。 入法界品の別訳あり。
教え
全世界を毘盧舎那如来の顕現であるとみなします。
ミクロ・コスモスを起点にしたり、ミクロ世界にマクロ世界を捉えたり。
仏教風にいえば、一微塵のなかに全世界を映し、一瞬のなかに永遠を含みます。一即一切、また、一切即一の世界観を展開しています。
関連作品
華厳経疏
華厳経疏とは唐の澄観が書いた「八十華厳経」の注釈。
正式名称は大方広仏華厳経疏、別名に華厳大疏。
この注釈を敷衍した華厳経随硫演義鈔(華厳大疏鈔、略して演義)もあります。
華厳経探玄記
華厳経探玄記は、旧訳六十華厳経の要文解釈によって華厳宗の中心教義を述べたもの。
法蔵が師・智儼の華厳経搜玄記にならって書きました。
略して華厳探玄記、探玄記、探玄。
その後に六十華厳の解釈が出ないほど本書の価値はすぐれています。
華厳孔目章
華厳孔目章は「六十華厳」を144章で4巻にわたり、難解箇所を解釈したもの。
正式名称は華厳経内章門等雑孔目章、略して孔目章。
唐の智儼が62歳以後に書きました。
- 華厳経が勝れている点を説明
- 一切経における位置を明確化
弟子の法蔵が大成した華厳教判(華厳五教章、後述)の基礎をなす重要な著作です。
華厳五教章
華厳五教章とは、智儼の弟子である法蔵が書いた華厳宗の教判論。
43巻、30余歳の著作です。
正式名称は華厳一乗教義分斉章、略して五教章。
五教に分けた円教のうち、法華経を同教一乗として諸教を包含するのに対し、華厳経は諸教から超越した別教一乗として最勝経とします。
華厳五十五所絵巻
華厳五十五所絵巻とは東大寺蔵の絵巻。
「華厳経」入法界品の所説に依拠。
善財童子が53人の善知識に歴参する物語を連続して描いていて、各段ごとに北宋楊傑の入法界品の文を書き込んでいます。
すべて揃っていた東大寺では1868年に散逸し、37段をのぞいて諸家に分蔵。
華厳教復興の鎌倉初期の作で、単調な題材を苦心して描いた絵仏師の作品といわれます。
同じ図様の別本残闕があるので模写かも。
別に額装本が東大寺ほか諸家に分蔵され、1幅に圧縮した華厳海会善知識図もあります。
日本の東海道五十三次もこれに準拠したものといわれています(華厳五十五所絵巻/文化遺産オンライン)。
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