概要
三鈷杵とは金剛杵・五種杵の一つ。三股杵と書くことも。
三股金剛・三股蔔日羅。略語に三鈷とのみいうのは三鈷杵の意。
形状

三鈷杵の一例
形状
把手の両端に各3鋒の鈷部がある平面的なもの。
忿怒三鈷(羯磨鎮壇)
古いタイプで装飾性がなく、三鈷が平行に伸びて、いずれにも逆刺しが着いています。
全体に大面を取るため、断面は六角形が多いです。
主鈷の根本に鉤状の節に変化が見えます。
このタイプは、すでに奈良時代の雑密のときに輸入され、遺品が正倉院に現存します。
弛み三鈷
ノーマル・タイプで、把手両端の蓮瓣部分がなく、鈷部の根元になっています。
鈷部は独鈷型の主鈷の尖端に似て、脇鈷が曲がって接しています。
後世の作品では付着して鋳造されるものもありますが、刃は内側のみに付いています。
脇鈷の外面には装飾的に根元に近く、嘴形・刳形をしているか、獅噛みの口から生じていたり、上部に半月状を付けていたりなどの変化があります。
脇鈷は節の部分までが把手の延長とし、それからは半円・牛角状になります。一部に張りの少い細形も。
密教での役割と三昧耶形
三の役割
密教では三の数を、仏部・蓮華部・金剛部の三部、身・語・意の三密の意に解釈し、金剛手持金剛菩薩や金剛軍荼利明王などの三昧耶形とされています。
三昧耶形とする仏尊
- 烏枢沙摩明王
- 悪趣菩薩…賢劫十六尊の一つ
- 金剛嬉菩薩…弛み三鈷杵(左に曲がる)
- 金剛歌菩薩…半三鈷杵
- 金剛菩薩…舌中に使用したり、半分や2個の三鈷杵を使用したり(笑杵)
- 金剛業菩薩…十字三鈷杵
- 金剛愛菩薩…双立三鈷杵
- 帝釈天…右手で三鈷杵
- 調伏天…二十天の一つ
- 金剛童子…独鈷杵のケースも
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