仏寺めぐりのうち天台宗寺院への訪問記録です。
天台宗とは
天台宗とは9世紀初頭に日本で広められた仏教で、時代的に平安仏教の1つに挙げられます。
また、同時代に成立した真言宗ともど、も日本仏教を代表する密教です。
宗祖
天台宗の宗祖は伝教大師最澄。
宗旨名の由来
中国の天台宗に由来します。
中国天台宗の開祖智顗が道場を建てた山が天台山華頂峰で、この山は中国淅江省にあります。
本尊
もともとは、「妙法蓮華経」で説かれる、永遠の昔に悟りに達していた釈迦牟尼仏。
ただ、諸仏諸尊はすべてこの久遠実成の釈迦牟尼仏より現れたものと考えるため、さまざまな仏や菩薩などを本尊として尊信しています。
天台宗寺院で最多の本尊は阿弥陀仏。
ほかに、釈迦牟尼仏、大日如来、薬師如来、観世音菩薩、地蔵菩薩、虚空蔵菩薩、不動明王などを本尊として安置するお寺もあります。
聖典
根本聖典は「妙法蓮華経」。
ほかに「阿弥陀経」「大日経」「梵網経』などの大乗経典も重視。
また、中国天台宗の開祖智顗や日本天台宗の開祖最澄たち、天台宗の歴史に出てきた高僧たちの著作も指南書に用いています。
歴史
平安時代初期に入唐した最澄は中国天台宗を日本に伝えました。
また、当時の中国にあった禅・戒律も伝えました。
帰国後、 中国天台宗とは違った、総合仏教的な性格をもつ日本天台宗を開創。比叡山延暦寺を建立して、その根本道場にしました。
その後、天台宗の第4代座主円仁(慈覚大師)は、838年に唐へ渡り、帰朝後に密教だけでなく念仏の教えも伝えました。
平安時代末期から鎌倉時代にかけて独立していく、鎌倉新仏教とよばれている各宗の宗祖は、例外なく、天台宗本山であった比叡山で勉学修行し、のちに教義の一部によって新しい宗派を創設しています。
この点から、日本仏教宗派の源泉を天台宗に求めることができます。
教義
日本天台宗の教えは「妙法蓮華経」の教えにもとづく中国天台宗の伝統を受けついだものです。
さらに、
- 天台密教(台密)という密教の教義
- 大乗戒という立場
- 禅ともよばれる止観の実践
- 念仏を中心にした阿弥陀信仰
も教義に含めています。
現況
総本山延暦寺のもとに、約3200の寺院があり、信徒数はおよそ60万人。
有名寺院に、
- 日光山輪王寺(栃木県日光市)
- 三千院(京都市左京区)
- 青蓮院(京都市東山区)
- 東北大本山中尊寺(岩手県西磐井郡)
など。
ほかに、金龍山浅草寺(東京都台東区)は天台宗系の単立寺院で、荒陵山四天王寺(大阪市天王寺区/現・和宗総本山)ともに戦前は天台宗に属していました。
また、善光寺(長野県長野市)は無宗旨無宗派ですが、護持運営では、大勧進を本坊とする天台宗と、大本願を本坊とする浄土宗の両宗旨が行なっています。