意味
虚空蔵菩薩とは万物をもち、福徳や知恵を無限に与えてくれます。
三形は宝剣・利剣・宝珠。
別名に虚空孕菩薩。化仏に、明星・日月星。
役割・御利益
宇宙の総てのものを含蔵し、無量の福徳と智恵を具え、いつも衆生に与えて諸願を成就させてくれます。
大日如来の福智二徳を本誓とするため、同体とする尊が多いです。
御利益は次のとおり。
- 罪障消滅
- 苦患消滅
- 現世利益
- 智慧獲得
キャリア
虚空蔵信仰
奈良時代に求聞持法が輸入されて以来、日本では虚空蔵信仰が盛んになりました。
つまり、密教輸入以前からひろく信仰されていました。
この頃、眷属に雨宝童子がいました。
嵯峨虚空蔵
京都府の智福山法輪寺は嵯峨虚空蔵と称して親しまれてきました。
毎年4月13日は十三参りで賑い、子供の智恵を授ける民間信仰があります。
京都市西京区嵐山虚空蔵山町に立地します。
形姿
いろいろありますが、主なものは次の2つです。
また、求聞持法の本尊となる像は、右手を与願印に結んで、左手に蓮華上如意宝珠をのせています。
虚空蔵院主尊
肉色で白衣、五仏冠。
右手に光焰つきの剣、左手は腰に当てて宝珠のある蓮華を持っています。
蓮華座に坐しています。
釈迦院
右手は掌を立てて白子を、左手は臍前に当て緑珠のつく蓮華を所持。
蓮華座に坐しています。
賢劫六中
白肉色。
左手は腰に当て、右手には宝珠のある蓮を持っています。
求聞持法本尊
ナム、求聞持法ってなに?
718年に大安寺道が将来し、善・勤操から空海が受け、四国・太龍山や室戸岬で修行し、この真言百万をすれば一切の教法を暗誦し得る、かなり重要な教法です。
満月を描いたなかには金色身で蓮華上に半跏坐。面槽は外妙で喜相。
左手に、如意宝珠 (瑠璃色で黄色の光畑)のある薄紅色蓮華を持ち、右手は五指を垂れて、外に向けた与願印を結んでいます。
月輪中に頭光身光を3本ずつの筋光として表現するのが特色。画像では結跏趺坐が多いです。
ちなみに、虚空蔵菩薩の宝冠上に五仏が結跏趺坐しています。
五大虚空蔵菩薩
または五大金剛虚空蔵。
増益・息災・所望・富貴を願う修法の本尊。
①部位②名称(異称)③本地④三昧耶形⑤台座、の順にメンバー紹介。
- ①中央②法界(解脱)③大日如来④率堵婆⑤師子
- ①東方②金剛(福智)③阿閦如来④五鈷杵⑤象
- ①南方②宝光(能満)③宝生如来④如意宝⑤馬
- ①西方②蓮華(施願)③阿弥陀如来④蓮華⑤孔雀
- ①北方②業用(無垢)③釈迦如来④羯磨⑤迦楼羅
五大虚空蔵法
虚空蔵菩薩の三昧を五智に開いて、中央を法界、四方に金剛・宝光・蓮華・業用の五大虚空蔵菩薩を本尊として、増益・所望・天変に修する法。
「瑜祇経」金剛薩埵吉祥品を本拠とします。
古来より、辛酉の年は革命の年で、皇帝・公家は謹むべきものとして、除災のために本法を修してきました。
虚空蔵菩薩曼荼羅
虚空蔵念踊法(不空訳)でなく、理趣経と理趣釈に書かれた、二重方形式の曼荼羅。
内院では、九円輪の中心に虚空蔵菩薩、 四方に金剛界南輪(宝生如来)の四親近、四隅に内四供菩薩をポジショニング。
外院では、四隅に外四供菩薩、四門に金剛杵・宝珠・蓮華・金剛鈴を配置。
ほか類似の図様もあります。
文化財
東寺観智院所有の木像は、恵運将来の唐代の作で鳥獣座に乗っています。
神護寺所有の坐像は弘仁期の名作。
彫像(平安時代)
法輪寺(京都市西京区)の飛鳥木造をはじめ、奈良時代の乾漆像が能満寺(福島県いわき市)に坐像、額安寺(奈良県大和郡山市)に半跏像。
平安時代のもので、木造彫像の有名なものがいくつかあります。
- 木造坐像…広隆寺講堂(京都市右京区)、勝因寺(三重県伊賀市)
- 木造半跏像…金勝寺(滋賀県栗東市)、矢田寺北僧坊(奈良県大和郡山市)
- 木造立像…孝恩寺(大阪府貝塚市)
絵画(平安時代)
虚空蔵菩薩像(東京国立博物館蔵)
平安時代・12世紀、絹本着色、1幅、国宝(文化遺産オンライン)。
虚空蔵求聞持法の本尊(頭と身にある各3条の光は軌にありません)。
当時の仏画一般の華麗さに対して独自の理性を表現した傑作といわれます。
おおむね軌に忠実で、岩座上の月輪(円相)にて蓮華座に半跏坐する正面像。
胸の前で上に向けた左手の掌の上には宝珠を載せています。
円相外の上部に天蓋を描き、白身の肌は朱線で囲み、淡紅で暈して立体感を出しています。
細い目や小さい朱唇に表現される冷徹さは、平安後期の特徴である装飾過剰の画面に反し、赤色系を極度に除いた色調に調和してあくまでも理智的。
銀截金も同調して、法衣を埋め尽くす金の截金や、後背の周囲には唐草文の火炎が、精緻を極めています。
木造虚空蔵菩薩立像(醍醐寺三宝院蔵)
重文指定年月日:1967年09月21日(重要文化財から国宝指定へ格上げ答申中)
絹本着色。
東博蔵とほぼ似た構図で、 台が月輪外に出て、本尊の結跏趺坐が相違。
色調は対照的に華麗で、蓮華座と法衣の裾には、紅色が強く、肉身と月が白く、法衣・光背は、赤・緑・青の3色を主調にした明るい色彩。
截金を用いないで金泥で仕上げる点が鎌倉初期の特色ですが、古調を守る醍醐調ともいうべき名作。
鎌倉時代の作品
金剛寺・円覚寺などに、 求聞持法本尊を東にして、上下に風景を描いた絵画があります。
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