意味
兜率上生とも書きます。
古徳の弥勒往生思想は「真言宗安心全書」下巻にたくさん収録しています。
中世の日本では、極楽往生の阿弥陀信仰と兜率天往生の弥勒信仰とがならんで人気に。
兜率天と弥勒菩薩
兜率天は欲界六天の第四天で、夜摩天と化楽天との間にあります。
この天に内院と外院とがあり、内院は将来に如来となるべき菩薩・一生補処の菩薩の住処。
弥勒菩薩はこの内院に現住して説法しています。
兜率天に往生する発想は、おもに弥勒上生経・弥勒下生経などにもとづきます。
密教による解釈
密教でも、古来から別意趣として兜率往生がありました。
空海もその信仰をもち、御遺告に、自分が入定の後に兜率天へ往生し、56億年後に弥勒菩薩とともに下生すると。
真言密教では、この兜率往生を浅略・深略の両意で解釈しています。
浅略
顕教一般にいう弥勒浄土に往生する意味。
ただし、兜率天の所在は欲界第四天にして界内にあるとみることに反し、界内の穢土に即せる浄土にして界外にあると考えます。
深略
兜率天は自性法界宮の曼荼羅会場であって、同時に一切衆生の心中にあり、真言行者自心の本初不生の心地を兜率だと解釈します。
「性霊集」3に「安楽都史本来胸中」というのはこの意味です。
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